速筋と遅筋


筋繊維の違い


筋肉を形作る筋繊維
筋肉(骨格筋)について:
 いわゆる筋肉は、筋肉細胞が集まって筋繊維、筋繊維を束ねた組織、筋肉
に栄養分や酸素を送り二酸化炭素や代謝物を運び出す血管やリンパ管、中枢
からの信号を伝える神経などにより構成されています。トレーニングをする
ことで、この筋繊維が傷いたり、疲労物質がたまったりして筋力レベルが落
ちます。その後筋肉を休めることで筋繊維が元の状態より高いレベルまで修
復、再生され(超回復)、筋肉が発達していきます。

 筋繊維は、すべて同じ性質を持っているわけではなく筋肉が縮む速さによ
って大きく分けて2種類あります。縮む速度が速く疲れやすい「速筋」と縮
む速度が遅く疲れにくい「遅筋」の2つです。この持久性の違いは、酸素を
用いて効率的にエネルギー生産をするための呼吸酵素群の量が、遅筋線維で
は圧倒的に多いことによります。このため遅筋は縮む速度が速筋のおよそ半
分なのですが、速筋に比べ疲れにくく持久力にもあります。逆に速筋は縮む
速度が大きい性質を持っています。つまり、遅筋の割合が大きい人は持久力
を必要とするスポーツに向いており、速筋の割合大きい人は瞬発力を必要と
するスポーツに向いているといえます。
 この速筋と遅筋の違いは、筋繊維のミオシンの違いのためにおこり、この
ミオシンの違いは遺伝子の型が違うためです。遺伝子の型には数種類があり、
その代表的なものが、速筋型のミオシンと遅筋型ミオシンを作る遺伝子の型
です。一般には筋線維は、この速筋と遅筋が、さまざまな割合で混在してい
ます。

 遅筋、速筋の「遅」「速」は筋肉の性質の違いを表します。繰り返しにな
りますが、遅筋は遅いが疲れにくく、ミトコンドリアの量も多いのでグルコ
ースや脂肪をエネルギー源とし易く持久力があります。それに対し速筋は速
いが疲れやすく持久力には劣ります。

持久的トレーニングは遅筋を鍛える?
 持久的トレーニングは遅筋が鍛えられるだけでなく、筋線維の性質をも変
えます。速筋線維の中に遅筋型ミオシンが現れ、速筋型ミオシンと入れ替わ
り、筋繊維が中間型へと変化します。マラソンランナーは元々遅筋型の比率
の多い筋肉がトレーニングとともに遅筋型の筋肉が鍛えられていて、遅筋の
占める割合がきわめて高い(60〜70%以上)ことが知られています。

活動しないと速筋線維は増える?
 負荷の大きい筋トレを行うことで、筋線維の性質がより速筋的になるかと
いうと、そうではなくむしろ、あまり変わらないか、中間型の筋線維が増え
る、と言われています。つまりマラソンなどの長距離は努力で、スプリトな
どの短距離は遺伝で決まるともいえます。速筋の比率を増やすことができな
いかというと、そうでもなく、筋肉にかかる負荷が無くなったり、きわめて
低いときには筋力は低下しますが、筋繊維は速筋的なものになります。つま
り、高強度のトレーニングを集中的に行ない、その他の時間は何もしないこ
とで速筋を特に強化することができる可能性があります。

筋トレの強度
 最大筋力の20〜30%程度の負荷(ウォーキングやゆっくりした泳ぎ)では
筋力は向上していきません。持久力や技術の向上には役に立ちますが、筋肉
自体を鍛えるには50%以上の負荷(ウエイトトレーニングや50〜100mの短距
離の全力を泳ぐ)が必要です。

加齢による筋力低下
 筋肉量は、20歳台をピークに急激に減っていきり、60〜70歳になると20台
のおよそ半分ほどになってしまうそうです。しかし、筋力トレーニングは、
筋量の低下を防ぎ、筋量を維持または増大する効果があります。限界まで鍛
えたスポーツ選手でもない限り、何歳になっても、年齢にあった、正しい筋
力トレーニングで体力は向上するといえます。


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